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自宅放火、病院に発砲、郵便局立てこもり警察官に発砲の元暴力団組員に懲役24年の判決

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 さいたま地裁(佐伯恒治裁判長)で4日、2023年10月に埼玉県蕨市の郵便局で局員を人質に立てこもり、警察官に向けて拳銃を発砲するなどしたとして、殺人未遂に現住建造物等放火、建造物損壊、銃刀法違反、公務執行妨害、器物損壊、監禁致傷などの罪に問われた無職・鈴木常雄被告(88)の裁判員裁判の判決公判が開かれ、佐伯裁判長は「地域社会に衝撃と不安を与え、多くの人を恐怖に陥れた」などとして懲役24年(求刑・懲役25年)を言い渡した。

鈴木常雄被告(2023年10月31日)

鈴木常雄被告(2023年10月31日)

 鈴木被告は2023年10月31日、埼玉県戸田市にある木造2階建てアパート一室の自宅にガソリンなどをまいて火を付けて全焼させた後、同市の「戸田中央総合病院」の室内に向けて路上から拳銃を発砲して、飛び散った窓ガラスや弾丸の破片で男性医師(当時49)と男性患者(当時62)の頭にケガを負わせ、その後、病院から北に約1.5キロ離れた蕨市中央の「蕨郵便局」に押し入り、駆け付けた警察官に発砲し、郵便局員の女性2人を監禁して人質に取り、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させたなどとされる。鈴木被告は立てこもりから約8時間後に突入した捜査員に逮捕された。

 調べに対し鈴木被告は、病院での発砲について「診療の対応に不満があった」と供述し、郵便局での立てこもりについては「郵便局員との交通事故でトラブルがあり、恨みがあった」などと供述していて、これまでの裁判では拳銃の発砲は認めたが、「殺すつもりはなかった」などと述べていた。

 佐伯裁判長は判決で、「被告は拳銃を長期間保有していた間に何回も撃ったことがあり、殺傷能力を認識していて殺意があったと認められる」と指摘。その上で「トラブルがあった病院や郵便局に嫌がらせをしようと、白昼に拳銃を発砲した極端に自己中心的な犯行だ。地域社会に衝撃と不安を与え多くの人を恐怖に陥れ、反省の態度もみられない」などとして懲役25年の求刑に対し懲役24年を言い渡した。

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