指名手配の神戸山口組系「健國会」幹部を逮捕 山口組系山健組傘下「多三郎一家」総長殺害事件

◀関連記事

　兵庫県警暴力団対策課と葺合署は２６日、２００７年に当時、愛知県名古屋市に拠点のあった指定暴力団・六代目山口組系四代目山健組傘下「五代目多三郎一家（現在は後継組織の健仁会）」の後藤一男総長（当時６５）が、兵庫県神戸市内の路上で刺殺された事件で、指名手配されていた特定抗争指定暴力団・神戸山口組系「二代目健國会」幹部・勢昇容疑者（７６）＝住所不詳＝を組織犯罪処罰法違反（組織殺人）の疑いで逮捕した。この事件を巡る逮捕者は１４人目。県警は勢容疑者の認否を明らかにしていない。

兵庫県警察本部

　勢容疑者は２００７年５月３１日午後６時１５分ごろ、組織的に計画された役割分担をもとに、神戸市中央区二宮町１の路上で後藤総長の腹や背中などを刃物で複数回刺して殺害した疑いが持たれている。勢容疑者は２６日夜、神戸市東灘区内の路上で逮捕された。

　県警は、実行役などの供述から勢容疑者が現場の指示役だったとみて、２００９年２月に勢容疑者を指名手配していた。

　また勢容疑者の逃亡を助けたとして、暴力団関係者とみられる無職・中田智富容疑者（６３）＝京都府木津川市加茂町里中森＝を犯人隠避の疑いで逮捕した。

　中田容疑者は、今年９月２６日に勢容疑者を車に乗せ、食料品購入などを手助けして神戸市東灘区内を送迎したとしている。県警が京都から頻繁に神戸市内を訪れる中田容疑者の動向をつかみ、勢容疑者の潜伏先を特定した。

　この事件を巡っては、実行役ら１３人が殺人などの容疑で逮捕されていて、２０１０年４月には後藤総長の殺害を指示したとして当時、四代目山健組若頭だった健國会の故・山本國春会長が組織犯罪処罰法違反（組織的殺人）容疑で逮捕された。

　山本会長は、２０１２年２月に一審の大阪地裁で無罪判決を受けたが、２０１４年１月に二審の大阪高裁では懲役２０年の逆転有罪判決。２０１５年６月に最高裁が上告を棄却して刑が確定した。山本会長は引退し、健國会は一時期解散している。