警視庁特別捜査課は17日までに、警察官などを装った特殊詐欺に関与したとして、詐欺グループのトップで中国系犯罪組織の関係者とみられる会社員・銭凌容疑者(38)=中国籍・東京都江東区辰巳=と、「かけ子」の管理役・宮代祥平容疑者(31)=住所不定=の2人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で再逮捕し、被害金を移動させる指示役・職業不詳・盧璐※(※王ヘンに路)容疑者(36)=中国籍・中央区勝どき=を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑などで逮捕した。
左・銭凌容疑者(38) 右・盧璐容疑者(36)
銭容疑者らは詐欺グループのメンバーと共謀して2023年9月~12月ごろ、宮城、静岡、沖縄各県の男女3人に「警察であなたを主犯格として捜査している」などとウソの電話をかけ、口座を開設させた上で、沖縄県の男性(当時75)から約3200万円、宮城県の男性(60代)から現金290万円、静岡県の女性(60代)から100万円相当の暗号資産を詐取した疑いが持たれている。
また、盧容疑者は銭容疑者らと共謀して、日本で不動産購入を希望する中国人の代わりに、沖縄県の男性からだまし取った被害金約3200万円のうち1000万円を、東京都港区内のマンション購入代金の手付金として不動産会社の口座に振り込み、その後、中国元で1000万円相当を返還してもらう手口で「マネーロンダリング(資金洗浄)」した疑いが持たれている。同課はいずれの認否も明らかにしていない。
銭容疑者らは、出資者から募った資金でカンボジアに詐欺拠点を開設し、2023年ごろから現地で詐欺の電話をかける「かけ場」の活動していたとみられる。同課はこの詐欺グループが少なくとも2024年8月~今年1月までの半年間で、約500件の特殊詐欺に関与し、被害額は約50億円に上るとみている。
銭容疑者は中国系犯罪組織の関係者とみられるほか、指定暴力団・住吉会傘下組員が詐欺グループの「かけ子」のリクルートに関与していた疑いもあり、同課は中国系犯罪組織と住吉会傘下組織が協力していたとみて、全容解明を進めている。