反社会勢力による事件やニュース
T

建設会社会長殺害事件で工藤會総裁らの上告棄却で賠償確定 不動産を「家族信託」で賠償逃れか

関連記事

 最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、特定危険指定暴力団工藤會組員が起こした殺人事件を巡り、工藤會トップの総裁・野村悟被告(78)と、ナンバー2の田上不美夫被告(69)が使用者責任に基づく損害賠償を遺族に求められた訴訟で、上告を退ける決定をし、2人に計3850万円の支払いを命じた二審福岡高裁判決が確定した。決定は今月12日付。

最高裁判所

最高裁判所

 2024年2月の福岡地裁判決は、工藤會組員が建設会社会長を殺害したのは工藤會の組織的犯行であり、暴力団排除への報復などが動機だったと指摘。「野村被告を頂点とする序列が徹底され、被告は暴力団対策法上の『代表者等』に該当する」と判断した。

 同年10月9日の二審・福岡高裁では、一審の約3300万円の支払いを命じる判決を支持し、一部を変更して賠償額を550万円増額した約3850万円の支払いを命じる判決を言い渡し、賠償額を増額した。

 この建設会社会長の殺人事件で野村被告と田上被告の2人は起訴されていないが、別の殺人事件などで無期懲役判決を受けて上告している。 また、野村被告は、複数の不動産の所有権を親族に移す「家族信託」の手続きを行っていたことがわかっている。法律上では信託された不動産は原則、競売や仮差し押さえなどができなくなると定められていて、福岡県警は「事件の被害者への賠償から逃れる行為だ」として、こうした行為を防ぐための法改正を警察庁などに要望している。

 一方、手続きに関わった弁護士は信託の手続きは「正当な行為だ」と話し、手続きは適正だとしている。

SNSでフォローする
T