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指定暴力団・住吉会系組員らによる特殊詐欺事件の被害者ら43人が30日、暴力団対策法に基づき、住吉会トップの西口茂男総裁ら、最高幹部3人を含む組員7人を相手取り、計約7億1500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。暴力団の組トップに対する損害賠償訴訟では過去最高の請求額になるという。
東京地方裁判所
特殊詐欺事件の被害者が西口総裁らの使用者責任を求めた訴訟は、2016年6月に原告7人(請求額約2億2000万円)、今年3月に原告1人(同約2000万円)が東京地裁に提訴したのに続き、3件目。既に起こされた2件の訴訟では、西口総裁らは争う姿勢を示している。
提訴したのは北海道・東北地方から九州地方に住む全国の30~80代の男女43人。2013年5月~14年6月ごろに電話で「債券を購入する権利が当たった」などとウソを言われ、社債購入費用の名目で現金をだまし取られた。架空の会社パンフレットや債券が届けられ約85万~約8300万円をだまし取られていた。
警視庁組織犯罪対策4課などは2014~2015年、住吉会の3次団体幹部ら33人を詐欺容疑で逮捕し、組員8人を含む28人を起訴。詐欺グループは全国の約170人から15億円以上をだまし取ったとみられているが、捜査では西口総裁ら最高幹部の直接的な関与は裏付けられなかった。
原告弁護団は暴力団特有の組織性を背景に詐欺事件を起こしたとみている。2008年施行の改正暴対法は「暴力団の威力を利用した資金獲得行為」で他人の生命や財産を侵害した場合、事件に直接関与していない代表者も賠償責任を負うと規定。この規定に基づき、最高幹部の責任も問えると判断した。