神奈川県警は10日までに、他人のIDで不正ログインして電子マネー「楽天キャッシュ」計約70万円分をだまし取ったとして、闇バイトを利用した「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の指示役とみられる無職・天野翔太容疑者(37)=住所不定=と、パートの女(43)=神奈川県厚木市=の男女2人を不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕、送検した。
天野翔太容疑者(37)
2人は共謀して2024年5月24日から26日の間、利用者16人の楽天IDとパスワードを使って電子マネー「楽天キャッシュ」に不正アクセスし、計約72万円分を詐取した疑いが持たれている。楽天から不正ログインされた利用者らに連絡があり事件が発覚した。
天野容疑者は、SNSの「X(旧ツイッター)」で現金の受け取り役を募集し、応募してきたパートの女に秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて指示をしていたとされる。調べに対し、天野容疑者は容疑を認め、パートの女は否認している。
天野容疑者は、詐取した楽天キャッシュ約50万円分を使い、複数の郵便局で「レターパック」を購入し、買い取り店に転売して現金化、転売して得た現金約44万円のうち約34万円を別の人物の口座に送金していた。
不正ログインされた利用者らは、「なぜ自分のIDとパスワードが盗まれたか分からない」と話していて、県警は、実在する企業のウェブサイトをそっくりに装った偽ウェブサイトに誘導し、IDやパスワードを入力させて盗む「フィッシング」の手口に遭った可能性があるとみて、詐欺の手口やグループの全容解明を進めている。
天野容疑者は今年1月に京都府警などが電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕していて、その後、別事件で高知県警などが逮捕していた。