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最高裁が初判断:「出し子」の電子計算機使用詐欺の共謀認め二審判決破棄、逆転有罪判決

 最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は11日、還付金詐欺事件で銀行口座から現金引き出す「出し子」だった被告の男(43)=千葉県松戸市=が、電子計算機使用詐欺罪の共犯になるかどうかが争われた上告審で、「共謀は成立する」と判断し、共謀を否定し詐欺罪について無罪とした二審判決を破棄した。被告を懲役4年とした一審判決が確定する。

最高裁判所

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 電子計算機使用詐欺罪は、被害者がATMで現金を振り込んだ時点で成立するとされていて、裁判では、その後に現金を引き出した「出し子」の被告にも適用されるかが争点となっていた。

 一審・青森地裁八戸支部は、電子計算機使用詐欺と窃盗のいずれも成立するとして懲役4年を言い渡した一方、二審・仙台高裁は、詐欺については共謀が認められず無罪だとして懲役3年6か月を言い渡し、検察が上告していた。

 平木裁判長は、「詐欺などの犯罪に基づいて振り込まれた現金だと十分に想定できた。指示を受けたグループと暗黙のうちに意思を通じ合ったと評価できる」などとして、裁判官5人全員一致で二審の判断は不合理で事実誤認があると結論付け、「出し子」にも電子計算機使用詐欺の共謀を認める初めての判断を示した。

 詐欺行為に直接関与していない「出し子」と、被害者をだまして送金させる「かけ子」の共謀を最高裁が認定したのは初めて。今後の捜査実務に影響する可能性がある。

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