東京地裁(楡井英夫裁判長)で12日、2003年に前橋市で起きた前橋スナック乱射事件などで死刑確定後、別の2人の殺害に関与したことが明らかになったとして、改めて殺人罪に問われた元指定暴力団・住吉会系十三代目幸平一家傘下「矢野睦会」元会長・矢野治被告(69)の裁判員裁判の初公判が開かれ、矢野被告側は起訴事実を否認し、無罪を主張した。死刑囚が被告となる裁判員裁判は初めてとみられる。

東京地方裁判所
矢野被告は1996年8月に暴力団関係者ら3人(いずれも故人)と共謀し、神奈川県伊勢原市の路上に止めた車の中で不動産業の津川静夫さん(当時60)の首を絞めて殺害。1998年4月には東京都豊島区のマンションで元会社社長・斎藤衛さん(当時49)の首を絞めて殺害したとされる。
矢野被告は罪状認否で、津川さんについて「名前すら知りません」と関与を否定。斎藤さんについては「私は殺していません」と述べた一方、「(別の者に指示して)殺させました」とも話した。弁護人は「矢野被告が自分で斎藤さんの首を絞めたという事実は存在しない」などと述べ、2件とも無罪だと主張した。
検察側は冒頭陳述で、津川さんの事件について「津川さんが所有する土地の権利を手に入れるためだった」と動機を指摘。斎藤さんの事件については「捜査段階の調べに対し、矢野被告が自分がネクタイで首を絞めたと供述していた」と主張した。
矢野被告は暴力団組長だった2003年1月、配下の組員2人(いずれも死刑確定)と共謀し、対立する暴力団の元組長の殺害を計画。実行役の2人が前橋市のスナックの店内外で銃を乱射し、市民3人を含む4人を殺害。
矢野被告は殺人罪などに問われ、一、二審で死刑判決を受け、最高裁が2014年3月に上告を棄却し死刑が確定していた。