反社会勢力などによる事件・ニュースまとめサイト
T

事務所の使用制限を見越しマンション不正契約 山口組系「兼一会」会長らに無罪判決

関連記事

 大阪地裁(伊藤寛樹裁判官)で12日、暴力団組員の身分を隠してマンション2棟の計2部屋の賃貸契約を結んだとして、詐欺罪に問われた特定抗争指定暴力団・六代目山口組系「二代目兼一会」会長(73)と、知人で無職の男性(72)の判決公判が開かれ、伊藤裁判官は「犯罪の証明がない」として2人に無罪を言い渡した。求刑は兼一会会長が各部屋について懲役1年と懲役2年、知人男性が懲役1年6月だった。

大阪地方裁判所

大阪地方裁判所

 兼一会会長らは、2019年1月から2月にかけて山口組神戸山口組の対立抗争の激化を受け、両組織が「特定抗争指定暴力団」に指定されるのを見越して、暴力団員の使用を拒否する約款がある大阪市中央区島之内のマンションに、知人男性が居住者とする虚偽の書類を提出し、マンションの所有会社と賃貸契約を結んだとして詐欺罪に問われていた。

 このマンションの部屋には兼一会組員が滞在し、組バッジや帳票、会長あての郵便物が保管されるなど、実質的に組事務所として機能し、使用実態があったとみられる。

 検察側はこれまでの裁判で、山口組が「特定抗争指定暴力団」に指定され、同エリアにある兼一会本部事務所の使用が制限されることに備え、このマンションの部屋を「隠れ事務所」として準備したと主張。裁判では男性名義などでの契約時に、「隠れ事務所」としての意図があったか否かが争われたていた。

 判決理由で伊藤裁判官は、組側が各部屋の賃料を負担するようになったのは、契約から3か月~1年あまりが過ぎてからだった点に注目。当初から利用する目的があったと裏付ける証拠がない一方、「賭けマージャンの場として借りたが、その後に組員から頼まれて管理を委ねた」として、事後的に組による利用が浮上したという男性の供述を排斥できないとした。

 また組員らが当初から組による利用を念頭に部屋を確保していたとしても、会長も共謀したという推認が「当然に成り立つとは考えられない」と指摘。「犯罪の証明がない」と結論付け無罪とした。

SNSでフォローする
T