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東京地裁で19日、国内最大規模といわれる違法スカウトグループ「ナチュラル」の関係者に捜査情報を漏洩したとして、地方公務員法(守秘義務)違反の罪に問われている警視庁暴力団対策課の元警部補・神保大輔被告(43)の論告求刑公判が開かれ、検察側は神保被告に懲役1年6月を求刑した。

東京地方裁判所
検察側は公判で、神保被告が2024年5月ごろまでにナチュラルが独自開発した情報共有アプリを自身のスマートフォンにインストールした上で、職場のパソコンからナチュラルの捜査のために関係先に設置したカメラの情報にアクセスし、2025年4月~7月に捜査カメラの撮影画像やカメラの設置場所を記したリストをアプリを使ってナチュラル側に送信し、撮影範囲などを情報提供したとした。
また、神保被告の自宅の捜索で見つかった現金945万円の一部からは、ナチュラル関係者の指紋が検出されたとし、ナチュラルを捜査する過程で、グループトップらとも接触するようになったと指摘した。神保被告は初公判で、「情報漏洩したことに間違いありません。全て認めますし争いません」と述べ、起訴内容を認めていた。
神保被告は被告人質問で、「当時は上司からのパワハラや、捜査を外されたことから自暴自棄となって一線を越えてしまい、情報を漏えいしてしまった」と動機を明かしたが、ナチュラルが独自開発したアプリの入手経緯や「ナチュラルの誰とやりとりをしていたのか」といった質問には、「家族が報復される恐れがある」として明らかにしなかった。また、自宅の捜索で見つかった現金について神保被告は「今回の情報漏洩には関係のないお金です」と話した。
検察側は論告で「今回の情報漏えいは警察の信頼を失墜させた。捜査に与えた影響は大きく、犯人隠避にもなりえるものだった」として、神保被告に懲役1年6か月を求刑した。
一方、弁護側は、「すでに警察官を辞めており、社会的な制裁を受けている」として執行猶予付きの判決を求め、神保被告は「自分の軽率な行動で迷惑を掛けたことを反省している」などと述べた。判決は今月25日に言い渡される予定。
神保被告は2023年から2025年3月までナチュラルが関与する事件の捜査に携わり、組織犯罪捜査を14年間担当していたが、2025年4月にナチュラルの担当から外れた後も捜査情報へのアクセス権は持ったままで、職場のパソコンを使用して関係資料を入手していた。警視庁は2025年12月に神保被告を懲戒免職にしている。
ナチュラルは、繁華街の路上などで女性をスカウトして違法に性風俗店に斡旋し、女性の売り上げに応じて性風俗店から支払われる「スカウトバック」と呼ばれる報酬を得ている「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の1つで、およそ1500人が所属する国内最大規模といわれる違法スカウトグループ。