警視庁国際犯罪対策課は6日までに、「口座が不正に利用されている」とウソの電話をかけ、現金をだまし取ったなどとして、特殊詐欺グループのトップで無職・高橋宗正容疑者(40)=東京都中央区晴海=や、いずれも職業不詳で指示や詐取金の運搬をしていた大美賀元容疑者(41)=千葉市中央区新田町=、岸波太地容疑者(46)=千葉県市川市菅野=ら男7人を詐欺容疑などで逮捕した。
高橋容疑者は還付金詐欺や預貯金詐欺を行う「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」のリーダーとみられ、このグループによる詐欺被害は、2023年2月~2025年11月に埼玉県など1都3県で発生した少なくとも500件、被害額は22億円を超えるとみられている。

警視庁本部
高橋容疑者らは2024年11月8日ごろ、銀行協会職員を装って埼玉県新座市の女性(80代)に電話をかけ、「あなたの口座から他の口座に現金が送金されている」とウソを言ってキャッシュカード4枚を受け取り、現金400万円をだまし取るなどした疑いが持たれている。同課はいずれの認否も明らかにしていない。
この詐欺グループは、SNSなどでメンバーを募集し、秘匿性の高い通信アプリで連絡を取り合っていた。受け子や出し子を「ファースト」、現金運搬役を「セカンド」、指示や回収役を「サード」、トップの高橋容疑者を「アンカー」と呼び、だまし取った金はマンションの宅配ボックスなどに置くよう実行役らに指示していた。
2023年2月に警視庁西新井署員が東京都足立区のコンビニ駐車場に止めていた車に乗っていたベトナム国籍の男2人に職務質問をしたところ、日本人名義のキャッシュカード18枚を所持していたことから窃盗未遂容疑で逮捕し、押収したスマートフォンの解析や防犯カメラなどの捜査から詐欺グループの関与が浮上した。
同課はこれまでに、「受け子」や「出し子」、「現金回収役」など計29人を詐欺容疑などで逮捕していて、被害金が暴力団に流れた形跡も確認されていて、金の流れやグループの実態解明を進めている。