警視庁特別捜査課は30日までに、特殊詐欺でだまし取った現金を賃貸物件の空き部屋に送らせた事件に関与したとして、指定暴力団・住吉会傘下幹部・山下正博容疑者(44)=東京都世田谷区弦巻=と、同組員・岩切博信容疑者(35)=東京都台東区浅草橋=の2人を詐欺容疑で逮捕した。

左=山下正博容疑者(44)・右・岩切博信容疑者(35)
2人は何者かと共謀して2024年7月、セキュリティー協会の職員を装って静岡県内在住の男性(60代)に電話で「あなたの携帯電話が原因でウイルス感染の被害が生じている。保険料が必要」などとウソを言い、東京都都練馬区内のアパートの空き部屋に「保険料」として現金300万円を送付させ、住人を装った別の人物に部屋の前に「置き配」された現金を受け取らせた疑いが持たれている。
山下容疑者と岩切容疑者は、別の事件で詐欺未遂ほう助の罪で起訴されている不動産会社経営の男を通じて、不動産業者間で利用されているWebサイトから空き部屋の内見予約をして、合鍵を入れたキーボックス「置き鍵」の場所などの情報を入手していた。
警視庁は2人の認否を明らかにしていないが、不動産会社経営の男が2024年の1年間に内見予約した都内の賃貸物件のうち、約80件が特殊詐欺の現金受け取り場所として悪用されていて、これまでの被害総額はあわせて約11億円に上る。