2024年10月10日
大阪地裁(末弘陽一裁判長)は8日、同居する実の弟名義のETCカードを使用して阪神高速道路などを走行し、料金の割引を受けたとして電子計算機使用詐欺罪に問われた、特定抗争指定暴力団・六代目山口組系「秋良連合会」会長・秋良東力こと金東力被告(67)に対し、検察側の主張を全面的に支持し懲役10月(求刑懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。
大阪地方裁判所
また、ETCカードを貸した金被告の実の弟(62)=求刑・懲役10月=と、車を運転した男(42)=求刑・懲役1年=も同罪に問われ、いずれも懲役10月、執行猶予3年とした。
金被告と運転手の男は2022年11月~12月、金被告の弟名義のETCカードを挿入した車に乗り、阪神高速道路を2回通行し、合計で1400円のETC割引の適用を受けたとされる。弟は車に同乗していなかった。
大阪地検は東力被告と運転手について、「名義人本人のみの利用を定めた阪神高速道路の営業規則や、ETCカードの発行会社の利用規定に反している。現金で料金を支払った場合との差額1400円は”財産上不法の利益”で、阪神高速道路の損害にあたる」とし、ETCカードを貸した弟を含め、3人を電子計算機使用詐欺の罪で起訴していた。
金被告ら3人は「阪神高速道路をだますつもりはなかった」「親分が乗った車を、その弟名義のETCカードを使用して運転することが詐欺にあたるとは考えていなかった」と起訴内容を否認し無罪を主張。弁護人も「親族間でのETCカードの貸し借りは世間ではよく行われている。被告らは、同様の行為を行った一般人と異なる扱いを受けており、公訴権の濫用だ」と訴えていた。