全国で唯一の「特定危険指定暴力団」に指定され、「鉄の結束」と言われていた「工藤會」で、幹部だった2人が工藤會を脱会して新たな組織を設立しようと内部分裂を画策し、絶縁処分を受けたことがわかった。
福岡県警察本部
工藤會元幹部で「本田組」組長・本田三秀受刑者(68)=傷害罪で懲役6年が確定、服役中=と、同元幹部で「緒方組」組長・緒方哲徳被告(49)=金融商品取引法違反で公判中=の2人は以前、工藤會で中心的な役割を担っていたが、内部分裂を画策している情報を工藤會の最高幹部らが把握し、現在勾留中の会長・田上不美夫被告らに伝達され、今年1月以降に絶縁処分を受けていた。
本田受刑者は一時、工藤會が行政処分を受けた際などに、工藤會の代表として県警側とやり取りするなど、会の運営を取り仕切る役目を担っていた。緒方被告は資金獲得に秀でていたとされ、工藤會の運営に欠かせない存在であった。
分裂を画策した時期や具体的な内容などは明らかにされていないが、結果的に内部分裂、新たな組織の設立は実現しなかった。工藤會では本部事務所や傘下組事務所など計30か所がすでに撤去され、組員らの離脱も相次いでいて、福岡県警は工藤會の内部統制に亀裂が入り始めた兆しとみて、今後の動向を注視している。