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京都市下京区にある指定暴力団・六代目会津小鉄会の本部事務所に11日、いずれも指定暴力団の六代目山口組系組員と、神戸山口組系組員らが集結して一時騒然となり、100人以上の京都府警の機動隊員が警戒に当たった。
会津小鉄会本部事務所の中には、会津小鉄会の馬場美次会長のほか、神戸山口組系幹部らが陣取っていて、外には組員たちを事務所内に入れないように封鎖する警察官と、山口組系組員らが取り囲み、会津小鉄会の組員らは締め出された状態だった。
騒動の発端は、前日の10日に会津小鉄会の関係先に送られたFAX文書だった。
「原田昇をもって七代目会津小鉄会会長とし、不肖私の跡目とすることと決定いたしました」という馬場美次会長名義での文章
会津小鉄会の「代替わり」なのかと思いきや、会津小鉄会の事務所に乗り込んできたのは神戸山口組の関係者。
会津小鉄会の組員は、「いきなりお前、50人くらい入って来よってな。ボコボコにいかれたんや」、「そこから1人だけ犠牲になって、車どかされて全員上がって来て。止めたけど蹴られたから、(会津)小鉄の人間が全員出されてる。『お前ら出ていけ。嘘つきや出ていけ』って。嘘つきちゃうやん、俺ら正当やん」と話す。
山口組に近いとされる会津小鉄会若頭で「心誠会」の原田昇会長が、分裂した神戸山口組に近いとされる馬場美次会長に対してクーデターを起こし、それを神戸山口組側が鎮圧しに来たとみられる。
会津小鉄会組員は警察に、「あいつは『辞める』言うて、昨日は出て行ったんや、馬場は。それがよその若いもん連れて乗り込んできやがって。そんな汚いこと誰がすんねん。世の中にそんな親分がおんのか。そんなのに誰がついて行くんだ。ちゃんときのう原田の会長が決まったやないか」と説明している。
警察の調べに対し、馬場会長は「このような文書は身に覚えがない。偽造された」と話をしていて、10日付でもう一通の文書を関係先に送付した。
「後継者に原田昇となっておりますが、まったく私の知る所ではございません。(中略)原田昇を『絶縁』と致します」
2016年12月に馬場会長は詐欺罪で実刑判決を受け、その後の去就が注目されていたが、今月10日に馬場会長が引退するという内容の文書が出回ったため、緊張が高まったとみられている。
もともと会津小鉄会は山口組と親密な関係だったが、山口組の分裂騒動後、神戸山口組との関係を強化したため、2つの組織の間で綱引き状態が発生しているという。
府警は会津小鉄会の後継問題や、山口組分裂騒動の余波から、他団体を巻き込んだ大規模な抗争に発展しかねないとして警戒を強めている。